5 糖代謝と睡眠と体重

ウサギのファムが、飼い主の薬膳料理の活動や実験を日記にして紹介。

【糖代謝と睡眠と体重】

◇月◎日 雨

 今回も長年に渡って僕の飼い主が、体で試してきた糖代謝について教えてくれた事を書くよ。


 要するに、カロリー管理で食べ物への嗜好性を知り、自分の生活習慣を知る。その上で、自分に適した睡眠時間を探す。そこまでしたら、代謝機能へのアプローチを考えてみる。


 前のページでここまで説明したけれど、どうやってアプローチするの?と。

 カロリー管理と適切な睡眠、日常生活内での運動でのカロリー消費。しっかり続けていても、壁にブチ当たってしまったように体重に変化が見られず、悩んでいる人は多い。特に、運動が出来ない状態の方は切実な問題だと思う。

 この現象の裏に見え隠れしているのは『代謝』という機能で、その中の『糖代謝』と『睡眠時間』が関係していると推測される。

 ここで『身体が何で動いているか』考えて欲しい。

 人間は、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルの5つの栄養素から栄養を摂っている。その中でも、炭水化物はエネルギーとして使われるために胃や小腸で消化された糖質と、消化酵素で消化できない食物繊維へと変わる。

 さて、吸収されやすい糖質になると言っても、どんな糖になるの?と思う方もいるだろうから。下の表にまとめた。

分類糖の種類主な特徴
単糖類グルコース
(ブドウ糖)
人の血液の中に血糖として存在。
一定の濃度で巡っていて、
この量がオーバーしていると糖尿病
フルクトース
(果糖)
一番甘い糖。果物とかに入っている。
ガラクトースラクトースの成分を作るもの
二糖類マルトース
(麦芽糖)
グルコースが2つ結合したもので、
麦芽やハチミツに入っている。
スクロース
(ショ糖)
グルコースとフルクトースが結合したもの。
砂糖の主成分。
ラクトース
(乳糖)
グルコースとガラクトースが結合したもの。
母乳とか牛乳に入っている。
少糖類マルトオリゴ糖オリゴ糖と呼ばれるもの。
甘味があるのに体内で吸収されにくい。
多糖類デンプングルコースが多数結合したもの。
穀類に入っている。
グリコーゲングルコースを肝臓や筋肉に貯めておくときのかたち
*主な特徴は広く周知されている特徴的なものをまとめたもの

 注目してほしいのは単糖類。

『炭水化物』は『胃や小腸で消化』されて単糖類(グルコース・フルクトース・ガラクトース)になる。筋肉でグリコーゲンとして貯蔵されるものと、肝臓でグリコーゲンとして貯蔵されるものに分かれる。肝臓に貯蔵されたものはグルコースとして赤血球に運ばれて全身へと巡り、必要な場所で供給される。糖尿病はこの血液中の糖の濃度が高くなっている状態。

 ここでの着眼点は、グルコースとして運搬され消費されているうちは問題ない。ただ、肝臓や筋肉に貯蔵されてしまうことを知って欲しい。

 要するに、カロリーを制限しても炭水化物対策(糖質対策)をしないと、体重は減らない。何せ、貯める機能が満載なのだから。通常オプションで貯め込み形式を執っている機能に対し、手立ては別の物に置き換えて摂取を控えるか、体に吸収されにくい状態で摂取するようにすれば貯蔵されにくくなる。この2択だ。

 炭水化物は主に主食でパンやお米だ。こんにゃく麺やカリフラワーライスや豆腐に切り替えても、パンやお米好きな我々にとっては飽きるし気持ちが滅入ってしまう。

 そこで、消化時に単糖類へと変化されにくい形でお米を食べれば、吸収されなくなる。その方法は、炊いたお米を冷やすこと。『難消化性デンプン』に切り替えてしまえば、吸収されにくくなる。

 やり方は簡単。ラップに包んで冷え冷えになるまで冷蔵庫で放置。もしくは前日の残りご飯を食べてもOK。イタリアン的な食べ方だと、お米を冷水で洗ってサラダに混ぜて食べる手もある。

 日常のお菓子、果物などの糖質を一旦保留にして、カロリー制限の時のように見極めなくてはならない。自分の1日の糖代謝が如何ほどなのかを。

 実は代謝には睡眠時間が大きく関与している。それは『糖代謝』も同じ。特に消化器官の小腸(消化しながら栄養吸収する器官)は自律神経系に包まれた器官なので、自律神経系がメンテナンスを始める22時から2時までの時間はしっかり休みたいところ。それにプラスして睡眠時間を7~8時間取れる状況を休みになる前の日から意識して寝るように心がける必要がある。

 そして、炭水化物を摂取しにくい『難消化性デンプン』として食べるには、腸内を整えて体内時計や自律神経系を整えていく必要性もある。そのためには、ビタミン・ミネラル・タンパク質をしっかり摂り、適度な脂質も摂取する必要がある。

 実際、飼い主が実験してみたところ、腸活を始めて体重のふり幅は2Kg。その日の体調もあるけれど、同時に糖代謝を意識すると300g~400gずつ減っていく。特に野菜を意識して摂って7時間半ほどしっかり睡眠をとっている時は便通も良好になったという。(睡眠時の水分補給はウーロン茶を選択)

 女性の場合は生理があるので、自律神経系の乱れは便通や水分代謝に直結して体重が増える傾向のようだ。このサイクルを知っているのと知らないのとでは、心の持ちようが違う。

 カロリーで炭水化物や脂質をどの程度制限しながら献立を考えつつ、自分の糖代謝を考えて摂取の仕方を変化対応させていく。是非とも、自分の身体と対話して自身の糖代謝を知って欲しい。

 次回は『貯蔵された糖の使い方』を考えたい。


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  • 情報として効果・効能・薬効などを記載しますが、それらをお約束するものではありません。体質は一人ひとり違うので、結果も自ずと変わってきます。

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