6 貯蔵された糖の使い方

ウサギのファムが、飼い主の薬膳料理の活動や実験を日記にして紹介。

【貯蔵された糖の使い方】

〇月△日 雨

 今回も長い間僕の飼い主が、体で試してきた糖代謝について教えてくれた事を書くよ。


 前回までの話をまとめると

 炭水化物は消化で単糖類と食物繊維になる。単糖類のグルコース(ブドウ糖)は血液中に一定の濃度を保って巡りながら使われていく。使われないグルコース(ブドウ糖)は血液を介して肝臓と筋肉に貯蔵される。

 自身の『糖代謝』機能を知るために、1日の食事を少し変更して、お米を『難消化性デンプン』に冷やして変化させてから摂取する。主食の糖質を抑えることで、1日の糖質摂取を割り出して十分な睡眠で代謝される糖を知る。


 自身の糖代謝を知ることは、体内の糖を消費させるための一歩に繋がる。1日の糖代謝の範囲を保ちつつ、糖尿病のように血液中に糖があふれている状態なら尚更、血中内の糖をどうにかしたところ。

 そこで、ダイエットをあれこれ試した飼い主は、今までの自論を検証しようと実験を始めたんだ。

 主食の炭水化物を「食べない」というストレスを回避するため、意図的に『難消化性デンプン』で摂取しつつ、身体に貯め込んだ糖を意欲的に消費する。

 そう、『貯め込んだ糖を意欲的に消費』これが今回の目的。

 では、どうやって消費するか?

 貯め込んだ糖の消費をしなくても、炭水化物を難消化性デンプンにするだけで良いのでは?と思われるかもしれないが、人間は付き合いで食事制限がままならない状態がある。消費をしない糖代謝は物凄くなだらかな傾斜で減少していくので、上回る日が続くと糖の貯蓄が行われる羽目になる。当然、体重はうなぎ上りか、上がったり下がったりで気持ちが萎えてしまう。しかも、中性脂肪値なども上昇してショックが絶望に変わる。

 そのため、出来る範囲での『貯蓄された糖』の切り崩しが必須になる。そして、もし筋肉に貯蓄された糖を筋肉で使おうとすると、大変な努力と運動が必要になるのではないか?という運動嫌いな飼い主は、一計を案じた。

 補助的且つ、今後の身体維持に必要なインナーマッスルの鍛錬は、過激な運動ではない。静かに体の筋肉を意識して動かすだけの、極めて飼い主に優しい動きだ。

ズボラな飼い主のやっているインナーマッスルを意識した動き
肩甲骨を意識しながら、寄せて上げてグルリと回す。浴槽で温まった後だと楽に動かせる。
立っている時は、おへその下に力を入れてお腹を平らにするように力をいれる。
同時にお尻の穴をキュッと閉める感じで立つ。
内腿を意識して大股で歩く。
座っている時は、気づいた時に足の指を動かす。
ふくらはぎの伸縮を感じるように動かす。
*これをやるとこうなるという効果を約束したものではなく、意識して使うことに重点を置いています。

 自分の動きを意識するだけではなく、身体の部位の関節と筋肉を意識して使うことに重点を置いている。筋肉痛にならない程度で動かすことが長続きの秘訣らしい。


 それほどでもない運動による糖代謝は少ない。

 さて、ここで問題。体の中で一番、ブドウ糖を使うのは何処か?

 答えは『脳』。

 飼い主の大好きな某医療ドラマで「私失敗しないので。」と自信を裏付ける集中力と卓越した技術で執刀した外科医が、あふれんばかりのガムシロを一気飲みしている場面を見たことはないだろうか。

 医療ドラマのエピソードにも使われるくらいの、脳の疲労に対するブドウ糖への渇望。私たちが思っているよりも、脳は貪欲に心の欲求のように甘いものを欲しがる。

 要するに、脳はあらゆる機能を維持する要であり、脳が熱ければラジエーターのように放熱したり、難しい作業や思考の構築などを当然のようにしている。そこに、通常とは違ったイレギュラーな形で細やかな作業や思考を集中実行すれば、脳は疲れてブドウ糖を欲してくれる。

 ここで大切なことは、ストレスにならない程度の脳への負荷。そして、脳がブドウ糖を欲した時に糖として摂取されるものを、食べない工夫をしながら欲求を満たすこと。

 この仮説の始まりとしてのエピソードがある。

 飼い主は無類のジグソーパズル好き。iPadの画面でジグソーパズルを何個もクリアさせていたある日、ゲームの間に宣伝が入ってソリティアの画面が目にとまった。そこで丁度、パソコンにも難易度を変えられるスパイダーソリティアが入っているのを思い出した。

 何気なく、パソコンを開いてやってみたのが切っ掛けだったのかもしれない。難易度の高い設定で、1時間ほどあれこれクリアを目指す。クリア後の達成感もあるが、どっと脳が疲れた感じがしたらしく、甘くないチャイを一気飲みした。

 その日の夕方、いつもの朝晩の測定で体重が1kg減っていた。

 減った体重にも驚いたが運動もしていないのに妙な疲れがあったため、『脳を使う=体重が減る』という仮説を立てた飼い主は、脳をどのように使った時に体重変化をして、どのような食事を意識した時に減りやすいのかを、自身の身体で数か月試して因果関係を探った。

 炭水化物の摂取を制御しつつ、糖質ゼロのチョコやら低糖のお菓子をたまにご褒美で自身に与え、ストレスの回避をしながらスパイダーソリティアや脳トレゲーム(無料)で脳を使う。

 ちなみに、ストレスにならない程度のプログラムを組んだり、文章を作る作業でも差はあるけれど、体重が減って脳の糖代謝があると分かった。

 その中で、一番驚いたのは『思考する料理を作る』。これも糖代謝が凄かった。但し、本を見ながらただ作るだけじゃ、糖代謝はあまり進まない。

 では、何が脳を追い込むのか?

 本は見ても良いけど、一回自分で段取りを考えること。そして、必ず1つの料理だけをやるのではなく、2品、3品を同時進行で作る。

 具材も調理方法も知らない料理は、まず知ることから始まる。また、知っている料理でも、どのように下処理をして、調理に入るのか。並列作業できるのは何と何か?調味料や調理法によってどのように素材が変化していっているのか?

味の足し算引き算。こういったものに考えを巡らしながら作業しつつ、次の大きな工程に入る時には『流しの中をキレイにしておく』というルールを決めて、そのための工程を考える。

 この『料理を作る』という作業は、沢山の作業が積み重なって出来上がる。もし、メイン料理とお味噌汁に副菜などを並列作業で作りつつ、片づけながら作る作業も組み込むような事をすれば、脳はフル稼働になる。

 『思考する料理を作る』を言い換えるなら、『知っている料理でも複数の段取りを考えて作る』がマッチしているかもしれない。

 料理は認知症の予防などにも用いられている。手先を使い、脳を使う。

 つくづく家事をこなす方は凄い。そこに子育てが入り、家族への優しい配慮が加わる。脳はフル活動だ。

 ただ、脳には『慣れ』なる難点がある。どんなに大変な作業でも何度も同じ作業を繰り返すと『当たり前』『普段と同じ』と慣れて、当然のようにこなしてしまう。心当たりはないだろうか、四苦八苦して悩みながら作っていた作業も数をこなすうちにサラリと考えずに出来てしまう経験を。

 そして、慣れた作業で糖代謝を増やすことは難しい。

 そうした時には、段取りを組み替えたり、他の脳代謝に切り替えてみると神経伝達が変わる。午前にやっていた作業を午後にとか、家事の合間に脳トレをやっていたなら、脳トレをする時間を変えて種類を変えてみるとか。

 脳は固定されたルーチンに強い。ならば、フレキシブルな対応で脳を使いこなせるようになりたいものだ。

 ちなみに、料理でフレキシブルを目指すならば、和・洋・中やイタリアンなど、どの料理でも良いから『温かい料理を家族や知人に出す』おもてなし設定で作り終えた後の片付けまでを念頭に段取りを組み立て全てを同時に終わらせる。その時に、自分の考えた献立ではなく、食べる側のリクエストに対して行動を起こす。

 適度なタイムリミットという緊張感と、食べてもらった時の反応のが良かったと受け取れれば、脳はこれ以上にないくらいの至福を得て糖代謝をする。

 次回は代謝についてもう少し。


  • 薬膳豆知識の情報や、料理などを紹介するのを目標。
  • 基礎疾患、持病などで、お医者さんに食事指導・食事の注意点を言われている方はお医者さんに相談してその指示に従ってください。
  • いろいろなやり方を載せていきますが、合わない人もいます。
  • 情報として効果・効能・薬効などを記載しますが、それらをお約束するものではありません。体質は一人ひとり違うので、結果も自ずと変わってきます。

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