畑の味

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文のお題 (日替わり)
食べた瞬間に子供の頃を思い出す食べ物は何ですか ?

家の近くは、ほぼ畑が点在している。農作物が生っているのをみると子供のころ暮らしていた家を思い出す。無人販売も地物野菜で新鮮だ。

中でも、畑から採れたてのトマトやトウモロコシは懐かしい『畑の味』がする。


幼少の頃、近所のの子供たちは年長者が幼い子の面倒を見て遊ぶので、親たちはそれを見守りつつお茶をして、長閑な時間を過ごしていた。子供たちは何にでも興味を示していたし、何でも自分でやってみたいという欲求があった。

ある時、近くの農家さんがキュウリやトマト、ナスといった農作物を支柱に縛る作業を見た年長者の子が子供の遊びの延長線上で、作業をやってみたいと言い出した。

商品にもなる作物の手伝いだったが、「やらせてみるか」と快諾してくれたので、子供たちは下の段と中段を任され紐を結んでいった。強すぎず、弱すぎず。素直な子供たちは教えられた通りに結ぶので、数年ほどその時期になると声がかかったぐらいだ。

遊びの延長線だったが、農家さんは採れたて野菜をいっぱいくれた。夏の暑い日に、畑を通りかかるとトマトをもぎとって投げてよこす。キャッチしたトマトはパンパンに膨らんで産毛まで見えている新鮮さ。

「たべてみ」と言われて、そのままガブリと食べた味は忘れられない。トマト特有の青臭さと甘酸っぱさ、畑の匂いと暑くジワジワと肌が焼かれる日の強さに、トマトの濃ゆい香りと瑞々しさ、喉を潤すトマトの汁が全てを潤してくれた。


未だに路地ものを買って食べると思い出します。トマトやキュウリやナスの紐を結んで、競争だ!と遊んだ日々。中でもトマトの味と、トウモロコシを生でかじる(採れたて30分以内)と、その味、甘み、旨味、香り、全てに当時の楽しかった思い出がよみがえります。

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