イケニャンが凶悪になり、そして流血

ホラー映画の『〇ャイルドプレイ』の人形チャッキーをご存じだろうか。

長閑な時間を過ごしていた昨夜のこと。愛猫が突如、「フミャ~!!」と騒ぎだした。このイラつき加減は、ハチワレ猫のハチベエ(勝手に命名)が来て、愛猫を驚かすのだ。

最初は2匹で可愛い声を出して円らな瞳でお互いを見ていたのに。

ハチベエは、夜中にウチに来て、愛猫が驚くような登場の仕方をするようになった。そんな彼の奇行のせいで、愛猫はハチベエが来ると、「やんのかコラ!」と臨戦態勢に入って、室内を駆け回って騒ぎ出すようになっていた。

何回目かで写真を撮れたのだが、すっかり面変わりしてしまったようで、ここ数週間で何があったの?言わんばかりの目つきになっていた。

数枚の中の一番まともな写真がこちらだ。

拡大すると、まるで某ホラー映画の人形、チャッキーのような睨みをしている。

「ハチベエがやさぐれた・・・」

何故、こんな面構えになってしまったのか?体格も少し大きくなり、筋肉が凄い。

そして昨夜、愛猫が騒ぎ始めたので、私はカーテンをめくってハチベエを探した。尻尾がボワッと膨らみ、興奮している愛猫に「ハチベエ居ないね。帰っちゃったかもよ?」と言いつつ足元にいる愛猫を見下ろした。

「にゃぁあ゛~あ゛💢」(そこに居たニャ!!💢)

「え?!うわぁぁぁぁぁぁ・・・!」

カーテンに首を突っ込んで外を見た私。愛猫にはカーテンから薄暗く知らない顔に見えたのか、目の大きさがハチベエと同じく大きかったから間違えたのか。

洒落にならないアイアンクロ―を食らってしまった。

主人が驚いて駆け寄ったが、振り向いた私の顔を見て

「ち・・・血・・・・血、出てる!」

千と千尋の千尋か!

痛みに頭を押さえながら、慌てる主人に心の中で突っ込みつつ大声で告げる。

「カーテンから覗かない!私と同じようになるよ。それより雨戸全閉め!」

足元に愛猫が興奮気味でフミャフミャ言いながらまだ唸っているのだ。そんな状態で私と同じことをすれば、間違いなく2発目のアイアンクロ―が炸裂するだろう。

洗面所の鏡で傷の確認をしている間にも血は流れていく。


顎に軽傷。オデコに深めの小さな傷。前頭部に分け目のようなちょっと深めの5cmの裂傷。

「これから処置するから、愛猫の気を引いてて。」

傷を洗い流し、傷口の傍を圧迫して血を絞り出し、雑菌を血と一緒に出してしまおうとしたからだ。その後、消毒液を沁み込ませたティッシュで何度も圧迫止血を試みて、市販の化膿止めのゲンタシン軟膏を塗った。

途端にガンガンと痛みが増して、ズキズキしたまま頭の中がドクドクと脈打つような痛みがきた。白タイツと黒タイツの人が戦っているのだろうなぁとぼんやり思いつつ、化膿止めに近い薬を飲み、痛みが緩和したところで、お風呂に入る前の準備をする。

そう。これで終わりではない。犬猫の手足には雑菌がいる。処置の第一段階が終わったにすぎないのだ。殺菌に至るまでの洗浄が終わって初めて安全なのだ。

フェイスシェイバーを手に傷の周りの髪の毛を刈り取っていく。主人の驚きの視線が凄かったが、普段から自分でショートカットをするので、分け目の部分を刈り込んでも支障が無いことは織り込み済みなのだ。要は反対側に分け目を持っていけば、隠れるからだ。

少し広めに刈り込んだが、消毒とゲンタシンを塗って乾くまで髪がかからない様できればよいのだから。

そんなこんなで、38℃のシャワーで髪の汚れを落とし、薬用シャンプーの『オクト』で泡を立てながら傷口に乗せる。消毒でさんざん染みていたので、痛みはあまり感じなかった。傷の無い部分もしっかり洗って洗い流す。リンスは毛先だけにつけて洗い落としていく。

そして、傷の洗浄をシャワーのヘッド切り替えながらやるのだが、これが物凄く痛かった。ナノ洗浄にした時の刺さる痛みもキツイ。かれこれ3分程洗浄した。

決して変態さんではありません。傷口の処置です。

ドライヤーを遠くに当てて乾かしながら、ふと思う。今の私、誰かに似てない?と。気付いてムフフな状態になる。

「『イン〇ェルノ』のロバートラングドン教授と同じ場所の傷だ!」

消毒しながら、ルンルンの私に主人は「めでたいね」と呆れた視線をくれる。

映画は特殊メイクだろうけど、私のは猫飼い主の勲章さね!と心で突っ込んでゲンタシンを塗る。痛みさえ超えれば、傷なんてそんなものだ。

後は、愛猫が気にしない様に遊んでやろうとしたのだが、下を向くと傷が痛む。仕方なく、猫の相手は主人に任せた。

「そういえば、ラングドン教授も頭がクラクラするって言ってたっけ。」

それだけ流血しておきながら、映画の追体験するのかと、かなり呆れ顔の主人だったが、愛猫の心のケアはバッチリしてくれたようだ。

それにしても、ハチベエは何時からチャッキーになってしまったのだろう。

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