剥離骨折にトドメの一撃2

20年以上前の話、私の剥離骨折を完全なものにした事件。今となっては笑い話なのだが、友達の助けで散歩はとても助かった。今回は友人と主人に対する愛犬の話。

岩塩ランプに足先をぶつけて、剥離骨折した後に心配した愛犬によって、更にダメージを負い、病院で笑いの渦を巻き起こした話は書いたが、今回は当時の散歩の話。

私の剥離骨折の話を聞いた友達は、散歩係を申し出てくれた。しかし、ウチの愛犬は中型犬で狩猟犬などに抜擢されるような一匹狼の『甲斐犬』だった。

「その足じゃ、散歩無理でしょう。私がリード持つわ。」

テーピングでグルグル巻きにした足を見て申し出てくれたのだろう。靴が入らないず、ギブスシューズのような足先の自由な靴を履いているのだが、まともに歩くことは出来ない。

友達は自分の愛犬の散歩を早く終わらせ、私に付き添ってくれることとなった。本当に有難い。

その頃の愛犬は、何かを感じ取っているようで、岩塩に近寄ろうとはせずに、ふて寝したような感じで私の行動を見ていた。

気にするから、決定打が彼女だったとは主人も私も愛犬の前では一言も話さなかったのに、足を見ては大きなため息をつく。そんな日々。

散歩当日、自転車に乗って来た友達は、愛犬のリードを手にして「よろしくね。」と愛犬に挨拶してくれた。

運動量を必要とする愛犬に、たっぷり朝と夕方30分~1時間の散歩をしてくれた友達。私の足に負担が来ない様に、100mほど愛犬と進んでダッシュで戻ってくるという体育会系のような運動を何本もこなし、楽しそうに笑っているのが凄い。

・・・・・

1カ月後、診察で指が少し動いても、それほど痛みは感じなくなった。ただ、かがんだり早く歩くような動作はまだ痛みがでる。靴も当たると痛い。

布製のつま先がポテッと膨らんだ靴を探してみた。1カ月もの間、友達は雨の日もずっと散歩を手伝ってくれた。感謝してもし足りないくらいの助力を貰った。

愛犬と歩調を合わせるリハビリもかねて散歩に復帰したが、今度も友達が見守るように傍にいてくれた。

「凄い!歩調が私の時と全然違う!偉いなぁ!」

急に走り出したりもせず、愛犬はゆっくりゆっくりと私の方を見ながら歩いていく。友達に褒められた愛犬は、まんざらでもない様に鼻を上に向けて座っている。

それから2カ月もの間、私と友達の愛犬も一緒に散歩をした。ゆっくり歩いては休むを繰り返す。徐々に普通に歩けるようになった頃には、私との散歩はゆっくり散歩と学習してしまったのか、無理な動きはしなくなった愛犬。

その話を知り合いに話した時、「あれ?旦那さんの時は猛ダッシュしてたよ。」と言われたので、慌てて主人に聞いてみた。

丁度、私が散歩に復帰した日から、愛犬は主人が担当する早朝や夜中もトイレ休憩以外はノンストップで爆走しているらしかった。

「秋冬の8時と4時の散歩は、ゆっくりなのに愛犬が甘えるのは俺だけなんだな」

なんて言いながら笑ってはいるが、1kmのダッシュはかなりきついのだろう。目が笑っていない。

骨折はヒビや剥離骨折だと治りが遅いらしい。布団が掛かっても大丈夫になった時間は3カ月。指を折り曲げても大丈夫になり完治したのは、5カ月だった。

面白いことに、愛犬は怪我の匂いを嗅いでから散歩のコースと内容を決めているようだった。動物の目に見えない感知能力と、人への対応力は凄いものがある。

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