動物に好かれる夫 グレートデン

夫は動物に好かれ、私は愛犬の用心棒になる?これは、愛犬と伊豆に旅行に行った時の話。

愛犬は甲斐犬(kaiinu)の黒虎(kurotora)。とても忠実で、頭の良い空気の読める良い子だ。1回ダメと言ったら、和室への侵入はしなくなるくらいの頭の良さ。

甲斐犬は狩猟犬や救助犬にもなっている、そして、勇敢さも兼ね添えている。そう思っていた。

愛犬と夫と私は、1年に1回ほど旅行に行っていた。今回は愛犬に海や白浜を体験してもらおうと、伊豆に行き先を決めた。

愛犬は中型犬、他の小型犬がざわついても良くないと思って、シーズンオフの2月などに旅行していた。

駐車場から少し小高い場所にあるペンション。温泉付きで、料理が美味しそうだったのが決め手となった。

カートや室内のソフトゲージを積み込んで愛車のNoahに乗って出発した。

少し遅くに付いたものの、快く出迎えて下さったオーナーさん。夜ご飯の料理の美味しいこと!温泉も満喫し、ゆったりとした空間は癒しとなった。

次の日の朝、明るいダイニングにならぶ伊豆の干物の朝食。良く見るとお膳が3つある。愛犬用のご飯も用意して下さり、塩分抜きしたアジの開きがあった。

なんと至れり尽くせり!と犬なのに魚大好きな愛犬は、アジを食べてご満悦のような笑顔。

朝食後のコーヒーを飲んでいた時に、オーナーさんが飼い犬の話をしだした。

飼い犬はグレートデンなのですと。

グレートデン、もしくは、グレート・デーンはドイツの犬で、心優しい犬。けれど、日本の基準からしたら大型犬か超大型犬に入る犬種だ。私の夫は、秋田犬の子犬を柴犬の子犬と勘違いするくらい犬種に疎い。

案の定、夫は会いたいと言っている。見せたいオーナーと会いたい夫。誰にももう止められない。

オーナーが連れてきたグレートデンは、超特大に属する大きさだった。夫の「デカッ?!」という一言にオーナーは吹き出し、グレートデンは嬉しくて尻尾を振っている。近づいて来る彼らにに対し、私は目の端に愛犬の姿を捉えていた。

狩猟をしている知り合いから、狩猟犬は「キャンと負けを認めさせたら使いモンにならない(負けさせちゃダメだ)」と言われていたため、愛犬はどうなってしまうのか?!と心配した。

ウチの愛犬は狩猟犬として使っていなくても、誇り高い狼に近い犬種の甲斐犬なのだ。彼女のプライドに関わってしまう!と焦っていたら、グレートデンの大きさに目を見開いて後ろに後退りながら、夫の横を通り過ぎていき、私の後ろに隠れてジッとしている。

あまりの大きさに夫が驚きつつ、グレートデンの頭を撫でているとベロン!と一舐めで顔を舐められてしまった。これにはその場にいた全員が大笑いしたが、私のお尻にぴったりとくっ付いていた愛犬だけは鼻息を荒くしていた。

彼女はうんともすんとも言わずに、「ボス、ボスの出番です!」と鼻で私を突いてくる。

「こら、自分で行きなさい!私は用心棒じゃないんだから!」

愛犬は私の席の下に突っ伏したまま動かない。

グレートデンを部屋に連れて行ったオーナーさんは「彼女が舐めるのは珍しいんですよ」と夫にしたグレートデンの行動に驚いていた。

そして、愛犬が私の後ろに隠れて、私にお願いしていたのも初めて見たと言っていた。群れのボス認定されているのだろうか?

私の印象に残ったのは、顎からオデコまでをベロンと一舐めでいったグレートデンのベロの長さと、超大型犬に怯むことなく小型犬を相手するかのような、顏をワシワシと撫でまくる夫の無防備な可愛がり方だった。

ムツゴロウさんかーい!

心の突っ込みが半端ない。いや、私だけじゃない筈だ。きっと夫は、土佐犬や秋田犬にも怯まずに可愛がってしまうのだろうと思う。

そして、今回の愛犬の自分自身のプライドの守り方。「先生、後はよろしくお願いします」みたいな感じで、私をツンツンと鼻で突いていたのだから。

まぁ、キャンと鳴かなかっただけでも偉いけれど、自分で行きなさいと言った時の「自分、超大型犬は苦手なんで。」というような、高倉健さんバリの態度にも驚いた。

私は用心棒じゃなーい!

と言ってやりたいけど、愛犬のプライドが保たれたのなら良しとしよう。

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