全ては同じ土俵ではないこと

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文のお題 (日替わり)
ほとんどの人が理解していないことは何ですか ?

何個目かの会社で営業事務をやりながら受注出荷のプログラムを作っていた頃、いろいろな同僚や上司になぜか相談されていた。

プログラムを作るにあたって、社内の受注出荷に携わる方々から今までの業務内容での不満を聞き取っていた時の話だ。おそらく、私が不満を聞いてくれるという話が先行して、人生相談のようなものから仕事で分からないことを聞いてきたり対人相談をしてくる人が出てきた。

昼休み中に「あのちょっとイイですか?」なんて、長閑な雰囲気を中断された内容が夫婦喧嘩した話だったり、今更聞けない仕事の分からない話だったり、子供の問題行動の話だったりしては、相談してきた方のプライバシーは同僚の知るところとなってしまう。

いくら昼休みでも、自分も昼食を摂る時間も必要だし、産業医は別にいる上、あまり素人が首を突っ込む分野でもないので、誤解だと説明してお引き取りして頂いていた。

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それでも話してくる人には、なるべく素早くハッキリと話の中の視点の相違を伝え、自分で考えてもらう。

例えば、夫婦喧嘩。内容を聞くだけ聞いて、夫婦間での不理解が原因で喧嘩している場合は、起こった出来事や問題に対し、お互いに自分視点や経験してきた自分の常識を当てはめて相手を見ていないか?相手を理解することと、相手の言い分を聞くことは、別の次元の話である。相手と自分の価値観が違う状態で相手に「気づいてよ」とか、「なんでわからないんだ!」と思っていても伝わらない。

同じ土俵に無い価値観は、一度合わせる必要がある。合わせるとは、お互いにとことん話し合って互いを理解しあうことだ。それをするかしないかは自分次第なのだと。

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例えば、子育てで親の言っていることを聞かないから怒ったら泣き叫ぶと相談されたことがあった。ちょっとしたことに、天邪鬼に反応するという。何時からそんな風になったのかと聞いてみれば、自分がこの会社でアルバイトをしだした時からだという。

子供は行動にSOSが出やすい。親の関心が他にあったり、親が日中仕事に出て寂しい思いをしていたりすると、自分を見て欲しいという子供特有の心の機微が反応して、問題行動が出てきやすくなる。

しかし、彼女は子供を保育園に預けている間だけアルバイトをしているので、今までと変わりが無かったらしい。バイト先が変わっただけなので、子供と触れ合う時間は同じで問題はないという。前のバイトの時と、今のバイトになって、変わった生活やコミュニケーションは無いか、『子供が笑顔を見せていた出来事』を重点に思い出すように言った。

本当に些細な事だった。

お弁当に入れるキャラクター具材が、元バイト先近くのスーパーマーケットでしか扱っておらず、今の会社付近で買える他のものに切り替えたという。

気に入ったものをずっと食べる習性のようなものがある子もいる。

個々の食に関しての感性や好みは、無意識のレベルで小さくても確立させている。だから、自分の子供であっても、勝手に変えるより説明をした上で変えた方が無難な時もある。

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人によって価値観は違う。自分や相手の視点が必ずしも正しいとは限らない。そんな中で自分の視点を変えてみると、見えない部分が見えてくる。

これは自分の心の中でも同じことだ。一つの事に囚われ、アレコレと考えて悩む。私も結構考えてしまうのだが、そんな時は、一度全部書き出してみる。

書き出されたものが、同じ土俵に上がって良いものなのかを、第三者になって考えてみる。そうすると、全て一緒だと思っていた事柄や気持ちが、分解され、これとこれは違うとか、これは違う件だと、感情や思考をシンプルなものにまとめていくことができる。

他者が絡むと考え辛いこともあるが、こうやって、極力同じ土俵のものだけを捌いていくと、考えがまとまって心が軽くなっていく。長丁場なものは、一旦保留にして自分の心が成長したなぁと思う時に考えてみると、結構、さっくり解決の糸口を見つけることができたりする。

過去の自分と今の自分、同じ自分でも考え方や捉え方、視点や論点は変わっていく。人間は心も体も考えも成長し、学ぶ生き物だと私は思っている。

今つまずいていても、未来の自分が一歩歩み出すかもしれない。

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